精神科医療にとってもっとも大切なのは、患者さんの想いをしっかり受け止めることです。心に不調をきたし、当たり前の生活ができなくなっている中で、何かひとつでもやりたいことができるようになっていただくためにも、しっかりと患者さんの声に耳を傾け、問題点を明らかにすることが必要です。また、精神科には、患者さんの人生そのものを支えていくという側面もあります。病状だけではなく、生活の状況からご家族のお気持ち、経済的な問題に至るまでお聞きして、ご本人、ご家族と一緒に最善の方法を考えていくことが大切です。それは決して簡単なことではありませんが、やりがいを感じるところでもあります。
根岸病院には140年を超える歴史がありますが、だからこそ時代の変化に敏感でありたいと考えています。一方で、ストレスの多い社会だからこそ、何も考えずにゆっくりと休息することも必要です。豊かな自然に囲まれたゆったりとした雰囲気は、明治12年(1879年)の創立以来、ずっと変わらない当院の特長でもあります。これからも、受け継ぐべき伝統を守りながら、絶えず進化していくことで、皆様に信頼される医療を提供したいと考えています。